読書会の記録(18.7~19.12)

埼玉県大里郡寄居町で開催した読書会の記録です。

新美南吉『ごんぎつね』読書会、開催終了いたしました。

 

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新美南吉『ごんぎつね』読書会、開催終了いたしました。

参加者の方々、お集まりいただき、ありがとうございます!

下記、みなさまの感想です。


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M.M
兵十とごんぎつね、ひなびた貧しい生活の中
草花の描写も豊かな中、
短くもあったがほのぼのとした読後感が残った。
他に「百姓の足、坊さんの足」「屁」がおもしろかった。


M.S
ごんの悲しみ、兵十の悲しみ、新美南吉の悲しみ…
生きることの根底には「悲しみ」があるのかもしれない…


N

ひとりぼっちの兵十とひとりぼっちのごんは、きっと良い友だちになれたのに…
最後、兵十の問いかけにぐったりと目をつぶったままうなずいたごんの姿が子どもの頃も、今も私の心に悲しく残ります。


O
悲しいお話の中にどこかほのぼのしたモノを感じる
それは出てくる季節の花のせいかごんの愛嬌あふれる人間味?からか
でも最後に兵十とはじめて気持ちが分かり合えたことは、ごんはきっと不幸なだけではないと思いました。

兵十「ごん、お前だったのか。いつも栗をくれたのは」
ごんは、ぐったりと目をつぶったまま、うなずきました。

兵十のこの言葉を ごんは聞けたことが…。


S
南吉の言葉
「尽くしても尽くしても理解してもらえないことがある」…
ごんと兵十は、最後の最後、理解しあえたのだと思う。
小学生の頃の記憶のまま。
かわいそうなお話でした。

 


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動物好きの方が多い中、今回の課題本は少々辛いものがあったかもしれません。
子供が読んでも、大人が読んでも、いやはや、本当に悲しいお話です。

新美南吉の生涯と詩も、じっくりと読んでいきました。
30年足らずの短すぎる人生のなかで、実に色んなことがあったのですね…

 

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下記、個人的な感想になりますが…

土屋文明記念文学館での遠山光嗣さんの講演で、印象に残ったことがありました。

新美南吉は、「悲」を「愛」に昇華させた、という言葉で。

「かなしみ」には「悲」「哀」「愛」と3つあり、新美南吉がとらえていたのは具体的な「悲しみ」よりもっと深いところにある「愛しみ」だった、ということです。


資料をそのまま引用させていただきます…

「よのつねの喜びかなしみのかなたに、ひとしれぬ美しいもののあるを知っているかなしみ。そのかなしみを生涯うたいつづけた。」

新美南吉28歳の時の日記)

 

新美南吉の見ていた「かなしみ」、「ごんぎつね」にもきっと色濃く描かれているのだと思います。

 

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帰りがけに、図書館入口に「寄居読書会」の案内板を掲げてくださっているのを発見しました!
看板の足元には黒井健の「ごんぎつね」も…!何と嬉しいことでしょうか。
寄居町立図書館のスタッフの方、ありがとうございます!!

 

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さて次は芥川龍之介「秋」。
新たな試みとして、皆様に「秋」にちなんで作品を紹介していただきます。
そして「アトリエ・リカ」様での新しいスタートとなります!
とても、楽しみです!