読書会の記録(18.7~19.12)

埼玉県大里郡寄居町で開催した読書会の記録です。

谷崎潤一郎『猫と庄造と二人のおんな』読書会後記

本日、『猫と庄造と二人のおんな』読書会を開催しました。

3名の方にお集まりいただきました。

下記、皆様の感想です。

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M.K.
ボードレールの猫がファム・ファタル的な象徴であって、猫が上手に使われている小説なのかなと思いました。面白かったです。

M.S
仕事が出来なくても家庭を支えられなくても、愛猫だけはもっと大事にして欲しかった。
リリーは本当のところ、何を考えているのか…

N
カインズホームで猫のトイレとトイレの砂、キャットフードを買って、タイムマシンに乗って月イチで品子さんに持って行ってあげたい。

S
リリーはファム・ファタルかもという意見に納得。一匹の猫に翻弄されている人間たちの滑稽な物語。

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今回は参加者の方のリクエストでした。

参加者それぞれ、これまで谷崎作品に触れてきて、倒錯的な作風のイメージを持っていた方が多かったようです。

ですが今回の『猫と庄造と二人のおんな』はまるで喜劇のようで、こんな面白い作品も書いていたのか、といった声があがりました。

また、猫を実際に飼っていないと分からない、細やかな猫のしぐさ、特徴も多いようです。いつも野良猫を指をくわえて(?)見ているだけの私にとっては、まだまだ謎な部分が多く、羨ましくもあります。

庄造について、冷たくもなく、熱くもない、だれも一途に愛した事が無いんじゃないか、という意見がありました。

庄造は、「低能児」なんて言葉で表されていて、何というかとても哀れな存在です。

庄造のような人は、いったい何を軸にして生きているのでしょうかね。

 

また、それぞれ印象的だったところを朗読していただきました。

下記、皆様の朗読部分です。

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・品子のもとにリリーが帰ってきて、品子に愛情表現をし、品子の気持ちが変わってゆくところ

・品子にも、福子にも、母親にも分かってもらえない淋しい気持ちを、あの哀愁に充ちたリリーの眼だけがほんとうに見抜いて…のところ

・僕リリーとは屁まで嗅ぎ合うた仲や、のところ

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読み返してみると、微妙な心の動きが本当によく書かれていて、凄い小説だなあ・・・と思います。

ご参加くださった皆様、ありがとうございました。

 

次回は7/21(日)、向田邦子『思い出トランプ』です。楽しみです!